今回は、前回ご紹介した令和2年6月26日最高裁判所第二小法廷判決に関する影響、射程範囲についての考察です。
まず、今回の最高裁判決では明確にはなっていませんが、最高裁判決の判断の記載ぶりからすると、地方税の徴収金の納入又は納付の告知だけでなく、地方税の徴収金の「督促」についても時効中断効があるのは初回だけ、ということになってもおかしくないのではないかと思われました。
次に、今回の最高裁判決の考え方(前回の記事で確認してください。)からすれば、地方団体の徴収金だけでなく、国税についても同様に考えられるのか否かについても、少し考えてみました。
まず、地方税の徴収金と同じように、「納税の告知」が行われる国税(関税などの賦課課税方式の国税、源泉所得税など源泉徴収方式の国税などがこれに当たります。)については、国税通則法において、地方税法と同様ないし類似の仕組みが採られているため、前回の最高裁判決はこれらの国税の納税の告知(や督促)にも同様に当てはまり、納税の告知(や督促)についても時効中断効があるのは初回だけということになるのではないかとの推察もできるのではないでしょうか。
さらに、通常の所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税といった申告納税方式が採用されている国税については、どうでしょうか?
これらの国税については、納税の告知という方式は採用されていませんが、国税通則法において、徴収の仕組みについては地方税法と同様ないし類似の仕組みが採られているため、前回の最高裁判決はこれらの国税の督促にも同様に当てはまり、督促について時効中断効があるのは初回だけということになるのではないかという推察が成り立つ余地があるのではないでしょうか。
さて、今回の最高裁判決について非常に重要な点は、その理由付けからすれば、地方税の徴収金の納付又は納入の告知にとどまるような話ではなく、さまざまな税金の徴収(督促等)にまで同様の判断がされる可能性がありそうだ、という点だと思います。
今後、類似の事案の裁判を通じて、今回の最高裁判決の影響、射程範囲が明らかになってくるのではないかと思われます。
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