中小企業の非上場株式の相続税等について100%猶予の特例ができるか!?

先日、平成30年度の税制改正大綱が発表されました。

その中で個人的に注目しているのが、中小企業の非上場株式の相続税・贈与税の納税猶予制度の特例の導入です。

従来からあった制度の特例ですが、大幅に課税が緩和される可能性があるので、朗報といえます。

 

現行の納税猶予制度は大まかに言うと、中小企業の代表者から相続、贈与を受けた後継者である筆頭株主(1名)について、発行済株式の3分の2を限度に80%相当の相続税等の額(つまり最大約53%の株式の相続税等相当額)について、納税を猶予するという制度です。

この猶予が認められるための条件、猶予が打ち切られる場合、免除が認められる場合の要件などについて法令で細かい規定がたくさん定められています。

例えば、納税猶予が認められた場合でも、申告期限後5年間の平均で従業員の雇用を8割維持できなければ、納税猶予が打ち切られ、猶予されていた税額を支払わなければならないことになっております。

詳しくは、こちらの国税庁のHPをごらんください。

 

さて、もし今回の税制改正が実現すると、特例により、後継者である株主(同族関係者を含めて最大3名まで)について、最大で、全株式100%の相続税等相当額の納税を猶予することができるようになります。

また、この特例では、申告期限5年間平均で従業員の雇用8割維持という条件を満たさなくても、納税猶予が打ち切られない予定です。

その他、猶予税額についても免除される場面が広がるものと思われます。

 

なお、今回の税制改正大綱によると、今回の特例だけでなく、現行の制度においても、後継者が代表者以外の者から株式を贈与等により取得した場合でも、一定の要件を満たすときは、納税猶予制度の対象とする予定となっています。

 

 

ただし、今回の特例は、平成30年から平成39年までに相続、贈与が行われる場合に適用されるという10年間の期限付きとなっています。

国が、この期間内の相続税、贈与税の負担を軽くすることで、この間に次の世代への事業承継が円滑に行われるように、後押ししているということです。

 

実際のところ、今回の特例が正式導入されるのかどうかはもちろん、正式導入されるときに要件がどこまで緩和されて、実際に使いやすい制度になるかどうかについて、今後も注目です!

 

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