前々回、使用人兼役員に関する記事を書きましたが、改めて使用人兼務役員制度のメリットや注意点について書きました。
通常、法人の役員給与は、定期同額給与(一定額の月給など)、事前確定届出給与(事前に税務署に届け出たボーナスなど)などでなければ、支払っても法人の損金になりません。
ですが、「使用人兼務役員」は、役員であっても使用人としての側面があるため、使用人分給与の支給額を期中に増減したり、事前に届け出をせずに使用人としての賞与を支払っても、法人の損金に算入することができます。
ただし、使用人分と役員分は明確に区分し、書面化しておく必要があります。
また、使用人分給与は他の使用人との給料のバランスにも配慮する必要があります。
さらに、使用人分の賞与は他の従業員と同時期にしなくてはなりません。
以上の点に注意して下さい。
その他にも、「使用人兼務役員」は、役員なのに雇用保険や中退共に加入できることがメリットとしてあげられます。
もっとも、法令上、代表取締役副社長、専務、常務その他これらに準ずる役員や、業務執行社員などは使用人兼務役員にはなれないこと(※1)にはご注意下さい。
(※1)No.5205 役員のうち使用人兼務役員になれない人
以上のように、使用人兼務役員制度にはメリットがあるので、社会保険の手続きや税務上の要件に注意しながら、有効活用してみられてはいかがでしょうか。