ロータリークラブの会費を必要経費で落としている、そんな方は意外と多いのではないでしょうか。
通常の個人事業者の感覚で行くと、ロータリークラブに入るのは、自分の仕事のお客さんになってもらえる会員を探したい、会員から仕事の紹介を受けたい、仕事に使える人脈を増やしたいなど、仕事が主な動機になっていることも多いと思います。そのため、当然会費は経費だと考える人も多いでしょう。
ですが、税務署は公的にはロータリークラブの会費を事業所得などの必要経費として認めてくれないことが多く、国税不服審判所の裁決でも必要経費と認めない税務署の主張が繰り返し認められております。平成26年3月6日付の裁決でもやはり同じく納税者側の主張が認められておりません。
ところで、東京高裁平成24年9月19日判決は、弁護士の弁護士会等の活動に関連する懇親会費や選挙費用について、弁護士として行う事業所得を生ずべき業務の遂行上必要な支出であれば必要経費に該当するとの解釈を示した上で、「弁護士会等の活動は、弁護士に対する社会的信頼を維持して弁護士業務の改善に資するものであり、弁護士として行う事業所得を生ずべき業務に密接に関係するとともに、会員である弁護士がいわば義務的に多くの経済的負担を負うことにより成り立っているものであるということができるから、弁護士が人格の異なる弁護士会等の役員等としての活動に要した費用であっても、弁護士会等の役員等の業務の遂行上必要な支出であったということができるのであれば、その弁護士としての事業所得の一般対応の必要経費に該当する」、「これらの懇親会等が特定の集団の円滑な運営に資するものとして社会一般でも行われている行事に相当するものであって、その費用の額も過大であるとはいえないときは、社会通念上、その役員等の業務の遂行上必要な支出であったと解するのが相当である。」とし、費用の額が過大であるものや二次会に出席した費用等を除き、必要経費に当たるとする弁護士の主張を認め、また日弁連副会長に立候補するために選挙規定に基づいて支出した費用についても弁護士の主張を認めて必要経費と判断しました(最高裁は上告を受理せず、この判決は確定しています。)。弁護士の事業所得の必要経費に関する最近の判決として取り上げてみましたが、広く報道されたものですので、ご存じの方も多いでしょう。
では、ロータリークラブの会費が弁護士会の活動費と同じように、裁判で必要経費に当たると判断されることになるのかという点ですが、ロータリークラブの会費と弁護士会の活動費を比較してみたとき、会が公的な存在であるか否か、納税者の本業たる事業と会の活動内容との関連性の高低などの点において、かなりの差があるように思います。そうすると、実際にロータリークラブのメンバーからの紹介事件が複数あるというような場合でないと、正面からロータリークラブの会費を必要経費と認めてもらうのはなかなか難しいのかもしれません。
皆さん、ロータリークラブの会費の取扱いにはご注意を!